都政改革委員インタビューvol.8 斎藤れいなさん(多摩市)
シンガー・ソングライターから一転、政治の世界へ
―斎藤さんはシンガー・ソングライターとして活躍されていますが、どういった経緯で政治の世界に足を踏み出そうと思われたのでしょうか?
私がこれまでアーティストとしてやってきたのは、人々の暮らしや内面の声に向かいあって、元気になってもらいたいということなんですね。ただ、音楽って、ものすごく力がある一方で、限界もあって。すごく理想的といいますか、世の中を変えていかなきゃっていうときに、何か具体的なことができるわけではないんです。
例えば、「シングルマザーで、つきあっている男性から暴力を受けていて……」という声が聞こえてきたときに、できることは何もない。じゃあ何ができるかと考えたときに、政治の世界だったら実際に動くことができる。だったら政治の世界に踏み出してみようと思って、決意しました。
「共感」を大切に、人々の声に寄り添っていく
―そういったなかで、斎藤さんはなぜ都民ファーストの会から出馬することに決められたのでしょうか?
私はレゲエから音楽の世界に入っているので、ちょっと左派だと思われがちなんですが……。レゲエって、目の前にいる人と自分を分けないんですね。「わたしとあなた」は”You and Me”ではなく、”I and I”。共感を大事にするメンタリティーなんです。共感を大事にする姿勢は、小池都知事にも通じる部分が大きいと感じます。
ただ、政治はコストがかかるし、結果があってこそのもの。理想を語るだけでなく、実際にできることをやっていかなければ世の中は変わっていきません。小池都知事が掲げている理想はすごく高いんですけども、非常に現実的で、今までやっていなかったことをやっていく力があると感じました。
公園にて。「毎日子どもたちと一緒に外に出ています。最近では汚れても構わないお手頃価格の服が増えてきました」
周囲の反応は「やっぱり!」だった
―周囲の方々やファンの反応はどうでしたか?
意外に思われるかもしれないんですが、希望の塾に参加することを決めたとき、身近な人たちからは「やっぱり!」「とうとう!」みたいな反応も多かったんですよ。学生の時から政治に興味があって、どうやったら世の中をよくしていけるかっていうのをずっと考えていて、ライブをしたり、ブログを書いたりしていく中でも、ファンの方々に対して「選挙に行こう!」とは言っていました。
アーティストである私が政治の世界に足を踏み出すことについて、やはりファンの方からお叱りの声を頂いてしまうこともあります。同時に、温かいエールをいただくことも多くて、先日のライブのアンコールでは、会場のみなさんが緑のペンライトを一斉につけてくれて、「ど真ん中」という曲を歌ってくれたんです。「蹴飛ばしていけ」という歌詞なんですけれども、うるっと来てしまいました。
―ご家族の反応はどうでしたか?
最初、パソコンの前で「希望の塾」のホームページを眺めながら、毎日ずっと悩んでいたんですけれども(笑)、そのとき背中を押してくれたのは夫なんです。「やればいいじゃん!」って。夫の両親もサポートしてくれて、今は家族みんなが支えてくれています。
自宅のキッチンにて。「魚を焼いておにぎりと野菜味噌汁、が我が家の定番です。余裕があるときは、グラタンや餃子です」
世の中をよくしていきたい気持ちは付け焼刃じゃない
―政治家として、斎藤さんはどういった社会を目指したいとお考えでしょうか?
私は子宮頸がん予防の啓発活動をしているんですけれども、女性って、生活サイクルが乱れたり、長時間労働を続けたりしていると、子宮まわりの病気になってしまうことがあるんですね。これまであまりプライベートを公にせずに来たんですけれども、私自身も26歳のときに子宮内膜症になっています。
それから2011年に男の子を、2015年に女の子を出産したんですけれども、長男のときは待機児童になってしまって、保育所に入れるために引っ越しを2回したのち、無認可保育園に預けたり、ベビーシッターさんに預けたりしながら、産休・育休をとらずにがむしゃらに働き続けました。そのときの無理がたたって、33歳の時に、胞状奇胎という病気になってしまって、手術をしているんですけれども、そのときの経験から、女性が自分の体を大事にしながら働けるような社会にしていきたいという思いが強いですね。
私にとって政治の世界はまったくの新天地というわけではなく、世の中を良くしていきたいという面で、音楽も政治も、私の中では地続きです。今、政治のことを考えるとものすごくワクワクします。音楽をやめるつもりはないんですけれども、今は政治に全力で取り組みたい。世の中をよくしていきたい気持ちは付け焼刃じゃないという自信は持っています。
プロフィール
斎藤れいな(さいとう・れいな)1979年2月26日、江東区生まれ。38歳。早稲田大学政治経済学科在学中からシンガー・ソングライター「烈火」(lecca)としての活動をスタートさせ、06年メジャーデビュー。09年に発表した「For You」(フォー・ユー)でブレイクし、12年には日本武道館で単独公演を成功させた。2児の母。