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都政改革委員インタビューvol.10 福島りえこさん(世田谷区)  

 

 

 

研究開発着手から約10年、「眼鏡のいらない3D液晶テレビ」を世界初で製品化

 

 

―福島さんは東芝にお勤めでいらっしゃいますけれども、どういった経緯で3Dテレビ開発の道に進まれていったのでしょうか?

 

大学は理学部で化学専攻だったんですけれども、有機化学の知識でもって就職したいと思い、液晶ディススプレイの開発を志望しました。2002年からは、液晶ディスプレイの応用である3Dディスプレイの開発に参加しまして、プロジェクトをひっぱり、眼鏡をかけなくても見られる3D液晶テレビの事業化に成功しました。量産ができるようになってきた2010年に、タイミングよく「3D元年」がやってきて、3Dの映画やテレビの市場が広まったんです。世界で初めて3D液晶テレビを製品化したということで、「全国発明表彰21世紀発明賞」など、さまざまな賞をいただきました。

 

 

 

コスト競争に飲み込まれない 「技術」のアクセルを踏むのは政治

 

―そういったなかで、福島さんはどういった経緯で都政にチャレンジしようと決意されたのでしょうか?

 

ご存知のように、日本の科学技術には優れたものがたくさんあります。仕事をするうえで優れた研究者たちにもたくさん会ってきました。でも、企業で働く多くの研究者は、まず研究が「市場として成り立つかどうか」というところに悶々としているんですね。

 

技術は社会を良くするためにあるのですが、優れた技術が生まれても、社会に広まるためには必ずコスト競争の問題にぶち当たります。政治家に理系出身の人は少ないですけれども、日本をどういう国にしていくか、東京をどういう都市にしていくか、っていうのを政治的に判断していって、優れた技術を広めるために、アクセルを踏むようなことも必要だと思っています。「技術」と「社会」の橋渡しをしていく役割を担いたいと考えて、政治家を志しました。

 

 

 

子育て・育児をしていても仕事のリーダーシップはとれる

 

―福島さんは子育てをされながら3Dディスプレイの開発でリーダーシップを発揮されて、すばらしい成果をあげられているわけですけれども、仕事と育児の両立にはやはり苦労があったのでは?

 

私が苦労したことは、世の中の働くお母さんが苦労されたこととほとんど同じだと思います。むしろ恵まれていたほうかもしれません。家族の協力もあったし、子どもも比較的手がかからない子どもでした。地域のお母さん方も手伝ってくれました。

 

3Dディスプレイの開発をしていた時の上長に、とても感謝していることがあるのですが、育児をしながら仕事をしていた私に、製品の構造を決めるチームのリーダーをやらないかと言ってくれて、チャレンジの機会をくれたんですね。振り返ってみるとそれがすごくよかったと思っていて。

 

東芝社内の自席にて。

 

 

普通、育児をしながら仕事をしている女性がいると、「お子さんがいて大変だろうから、責任ある仕事は負担が大きいだろう」という思いやりから、サブ的な仕事が割り当てられたりすることも多いんですね。でも、育児に手がかかる約10年間、ずっとサブの仕事をしていて、いざ自分が40歳ぐらいになって、子どもが小学校に入るくらいになったときに、いきなり「リーダーシップを発揮してください」って言われても、難しいと思うんです。子育てに時間を割かれる30代の頃は、少しずつ自分が責任を持つ範囲を広げて、成長するための大切な時期と重なっています。

 

北欧で先行していましたが、日本でも平成27年に施行された「パートタイム労働法」では、パートタイム労働者でも、フルタイム労働者と同様に責任ある仕事につけることを推進しています。「勤務時間が短いからリーダーになれない」ではなく、リーダーになるべき人がなっていく。女性はきちんとできると思えることにしか手をあげない傾向があるように思うので、「背伸びしなきゃいけない仕事だって引き受けていいんだよ、やってみなよ」って背中を押してあげる存在でいたいと思っていますね。

 

 

 

ラガルド氏に憧れて白髪を伸ばすも「塩昆布」の一言に撃沈

 

―なんだか福島さんのお話を伺っていると、ものすごくエネルギッシュでパワフルです。もしかして、人としての弱点がないのでは……?

 

あります、あります、ありすぎですよ。特に時間に追われていると、待ち合わせの場所を勘違いしたり、最近でも、政治活動でのぼりの棒だけ持ってのぼりを忘れて街頭演説行っちゃったり、ポカミスはしょっちゅうです(笑)

 

あと、40代になって白髪が増えてきたのですが、2011年の「APEC女性と経済サミット」で女性イノベーターとして表彰されたときに、IMF専務理事のクリスティーヌ・ラガルド氏が祝辞を中継で寄せてくれまして、チャーミングなスピーチだったんですけれども、白髪も素敵で。女性の白髪って恰好いいなと思って、私も白髪を染めずに伸ばしていたら、娘に「塩昆布みたい」って言われちゃって、今日慌ててカットして染めてきました(笑)

 

 

2010年、日経WOY授賞式会場にて。(写真提供/日経WOMAN)

 

 

 

プロフィール

福島りえこ(ふくしま・りえこ)1971年1月24日、東京都世田谷区生まれ。46歳。東北大学理学部化学第二学科を卒業後、東北大学大学院理学研究科化学専攻科博士。株式会社東芝にて裸眼3Dディスプレイの開発を実現し、2005年に第57回神奈川県発明考案展覧会「川崎市長賞」、日本光学会の「光設計優秀賞」、2007年に映像情報メディア学会の「技術振興賞 開発賞」、2010年に発明協会の「全国発明表彰21世紀発明賞」を受賞し、2011年に日経WOMANの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー大賞」に選ばれた。2007年より東芝研究開発センターヒューマンセントリックラボラトリー主任研究員、2012年より東芝研究開発センターマルチメディアラボラトリー研究主幹、2015年より東芝研究開発センター研究企画部エコテクノロジー推進担当グループ長。一児の母。

 

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